UD設計アドバイザー派遣事業
目次
- 1 事業概要
- 2 熊本県UD設計アドバイザー制度とは
-
- 2-1 UD設計アドバイザー制度創設の経緯
- 2-2 UD設計アドバイザー派遣の予算化は不要!?
- 2-3 設計発注段階になってUD設計アドバイザー制度を知ったとき
- 5 アドバイス内容及び実績
-
- 5-1 標準タイプのアドバイス時期・内容
- 5-2 設計時ワークショップタイプのアドバイス時期・内容
- 5-3 施工時ワークショップタイプのアドバイス時期・内容
- 5-4 UD設計アドバイザー派遣実績
UD設計アドバイザー派遣事業
1 事業概要
本事業は、熊本県と(一財)熊本県建築住宅センターが協働して平成25年7月16日に創設した熊本県UD設計アドバイザー制度に基づき、(一財)熊本県建築住宅センターがあらかじめ登録した熊本県UD設計アドバイザー(以下「UD設計アドバイザー」という。)を派遣する事業です。
2 熊本県UD設計アドバイザー制度とは
2-1 UD設計アドバイザー制度創設の経緯
熊本県UD設計アドバイザー制度は、平成25年2月に創設された木造設計アドバイザー制度に続いて、同年7月に、熊本県と(一財)熊本県建築住宅センターの協働により創設されました。(創設時名称:「UD設計アドバイザー制度」)
熊本県では、平成12年頃から潮谷県政の重点施策としてユニバーサルデザインに積極的に取り組み、熊本県庁本館改修工事、こども総合療育センター新築工事などの県の施設のほか、嘉島町の熊本クレア(現イオンモール熊本)新築工事や熊本空港ビル改修工事などの民間施設においても、県が関与しながらUDワークショップを活用したユニバーサルデザインの取組みが行われました。平成20年からの蒲島県政においても、かがやきの森支援学校などの県有施設整備において同様の取組みが行われましたが、将来にわたって持続可能なものとするために、木造設計アドバイザー制度と同様に(一財)熊本県建築住宅センターが県と連携しながら事務を担うUD設計アドバイザー制度が創設されました。
UD設計アドバイザー制度による派遣事業は、主として設計時や施工時のUDワークショップを中心に実施されてきましたが、平成30年からは、木造設計アドバイザーの場合と同様に、基本設計時と実施設計時に予め提出された図面に対してUD設計アドバイス会議の中で助言を行う「標準タイプ」をメニューに加えました。
なお、令和2年8月の改正により、対象建築物を「公共性の高い建築物等で理事長が設計アドバイザーを派遣する必要があると認めるもの」とし、民間建築物についても対象となることを明確にしました。
2-2 UD設計アドバイザー派遣の予算化は不要!?
UD設計アドバイザー制度が持続可能な制度と考えられる理由の一つは、「数億円規模の事業の場合、発注者(県や市町村等)がUD設計アドバイザー活用のための特別な予算化をする必要がない」(発案者)という点にあります。言い換えると、UD設計アドバイザー制度の活用を予定していなかったプロジェクトでも、設計委託発注の段階で「UD設計アドバイザー制度を活用してUDに関する専門家の意見を取り入れた設計とすることが必要」という整理を行えば、UD設計アドバイザーの派遣を受けることができます。
県や市町村等が建築物の新築や改修を行う場合、設計委託料や工事費などを予算化することになりますが、UD設計アドバイザー派遣の費用は、予算化された設計委託料の中で支出することが可能です。つまり、建築物の整備主体(県や市町村等)が、設計委託を行う際に、設計委託業務仕様書の中に「(一財)熊本県建築住宅センターが派遣するUD設計アドバイザーによる助言を受けて設計すること。」等の記載を行い、特別経費としてUD設計アドバイザー派遣手数料(6-2参照)を計上して設計委託料の予定価格を算定すれば、UD設計アドバイザー制度を活用することができ、数十万円の費用で数億円単位の建物の確実な質の向上が期待されることになります。
2-3 設計発注段階になってUD設計アドバイザー制度を知ったとき
設計発注段階になってUD設計アドバイザー制度のことを知ったとき又はUD設計アドバイザーの活用について検討を始めたときは、(一財)熊本県建築住宅センターにご相談ください。特に市町村の場合は、UD設計アドバイザー制度の活用を前提とした設計発注に関する技術的支援のご要望があれば、熊本県公共建築連絡協議会の取組みとして設計委託料の算定や設計委託仕様書の作成等について無償で支援させていただきます。
3 対象建築物
当初は、県又は市町村が整備する建築物をUD設計アドバイザーの派遣対象としていましたが、現在は派遣対象を拡大し、次の建築物を対象としています。
① 地方公共団体又は公益法人が整備する建築物
② 国又は熊本県から補助金の交付等を受けて整備される建築物
③ 公共性の高い建築物等でUD設計アドバイザーを派遣する必要があると認められるもの
4 熊本県UD設計アドバイザーについて
熊本県UD設計アドバイザー制度の要である熊本県UD設計アドバイザーは、(一財)熊本県建築住宅センターが選定し、県との協議を経て熊本県UD設計アドバイザー登録簿に登録された専門家をいいます。
なお、熊本県UD設計アドバイザーの選定要件は、「学識経験者」、「UDに関する指導的な取組み経験及び実績を有する者」などとしています。
現在、熊本県UD設計アドバイザー登録簿に登録されているアドバイザーは、次の表のとおりです。
登録 番号 |
登録年月日 | 氏名 | 所属等 | 主なアドバイス事項 |
---|---|---|---|---|
2001 | 平成25年7月16日 | 矢ケ部孝志 | NPO法人UDくまもと | UD設計アドバイス全般 |
5 アドバイス内容及び実績
5-1 標準タイプのアドバイス時期・内容
標準タイプの場合は、申請者側が提示する設計図書等についてアドバイスを行います。標準的な開催時期・内容は次の表のとおりで、1,000㎡以上の場合は6回、1,000未満の場合は4回の開催となります。具体的な開催時期については、UD設計アドバイザーと申請者の協議により決定します。
開催時期 | 回 | 内 容 | |
---|---|---|---|
1000㎡以上 | 初期段階 | 第1回 | 基本設計与条件についての助言等 |
基本設計段階 | 第2回 | 基本設計方針の確認、助言 | |
第3回 | 基本設計案に対する助言 | ||
実施設計段階 | 第4回 | 基本設計内容の確認、実施設計に向けての助言 | |
第5回 | 実施設計案(サイン計画含む。)に関する助言 | ||
第6回 | 実施設計最終案に関する助言 | ||
1000㎡未満 | 初期段階 | 第1回 | 基本設計与条件についての助言等 |
基本設計段階 | 第2回 | 基本設計案及び実施設計に向けての助言 | |
実施設計段階 | 第3回 | 実施設計案(サイン計画含む。)に関する助言 | |
第4回 | 実施設計最終案に関する助言 |
5-2 設計時ワークショップタイプのアドバイス時期・内容
設計時ワークショップタイプの場合は、3回のアドバイスを標準としており、開催時期及び内容は、次の表のとおりです。
なお、ワークショップの参加者、人数、内容等については、建築物の用途、規模、工事内容、派遣申込手数料等を勘案しながら、県及びUD設計アドバイザーと協議の上、決定します。
開催時期 | 回 | 内 容 | |
---|---|---|---|
新築 | 初期段階 | 第1回 | 基本設計与条件についての助言等 |
基本設計段階 | 第2回 | 障がい者等によるワークショップ及び助言 | |
実施設計段階 | 第3回 | ||
改修等 | 現地調査時 | 第1回 | 障がい者等によるワークショップ及び助言 |
基本設計段階 | 第2回 | ||
実施設計段階 | 第3回 |
5-3 施工時ワークショップタイプのアドバイス時期・内容
施工時ワークショップの回数は次の表のとおり2回を標準としていますが、これは、設計時にUD設計アドバイスを受けたことを前提としています。また、ワークショップの参加者、人数、内容等については、建築物の用途、規模、工事内容、派遣申込手数料等を勘案しながら、県及びUD設計アドバイザーと協議の上、決定します。
開催時期 | 回 | 内 容 | |
---|---|---|---|
新築 ・ 改修等 |
モックアップ時 | 第1回 | 障がい者等によるワークショップ及び助言 |
サイン計画確認時 | 第2回 |
5-4 UD設計アドバイザー派遣実績
UD設計アドバイザー派遣事業の実績は、こちらをご覧ください。
6 申請者・手数料
6-1 申請者
建築主、設計事務所、施工者等、建築物の計画に関与するのであれば誰でも、UD設計アドバイザー派遣手数料を添えて申し込むことができます。
② 設計事務所が、設計等受注に係る提案書等の中で「UD設計アドバイザーのアドバイスを受ける」と提案した場合③ 発注者が、工事請負契約書の中にUD設計アドバイザーのアドバイスを受けることを明記している場合施工者④ 施工者が、工事受注に係る提案書等の中で「UD設計アドバイザーのアドバイスを受ける」と提案した場合⑤ 建築主等が設計委託等とは別にUD設計アドバイザーの派遣を希望する場合建築主等⑥ 上記以外の場合UD設計アドバイザーの派遣を希望する者
設計アドバイザーを派遣することとなった理由 | 申請者 |
---|---|
① 発注者(熊本県、市町村等)が設計委託仕様書(又は工事監理委託仕様書)にUD設計アドバイザーのアドバイスを受けることを明記している場合 | 設計事務所 |
6-2 UD設計アドバイザー派遣申込手数料
アドバイスの区分 | 手数料 | ||
---|---|---|---|
➀ | 標準タイプ(1,000㎡未満) | 297,000 円 (税抜価格 270,000円) |
|
② | 標準タイプ(1,000㎡以上) | 440,000 円 (税抜価格 400,000円) |
|
③ | 設計時ワーク ショップタイプ※ |
電動車いす参加なし | 297,000 円 (税抜価格 270,000円) |
④ | 電動車いす参加あり | 385,000 円 (税抜価格 350,000円) |
|
⑤ | 施工時ワーク ショップタイプ※ |
電動車いす参加なし | 231,000 円 (税抜価格 210,000円) |
⑥ | 電動車いす参加あり | 319,000 円 (税抜価格 290,000円) |
|
⑦ | 特別タイプ | 理事長が県と協議して定める額 | |
⑧ | 追加アドバイス(1回当たり) | 44,000円 (税抜価格 40,000円) |
※参加障がい者等の延べ人数:8~10名程度
7 実施要領等
・ 熊本県木造設計アドバイザー派遣事業等実施要領 | |
・ 熊本県木造設計アドバイザー派遣事業等運営細則 | |
・ 熊本県木造設計アドバイザー等登録要項 | |
・ アドバイザー派遣申込書 |